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28. パブコメ:九州電力株式会社川内原子力発電所1号炉及び2号炉の発電用原子炉設置変更許可申請書に関する審査書案に対する科学的・技術的意見の募集について

九州電力株式会社川内原子力発電所1号炉及び2号炉の発電用原子炉設置変更許可申請書に関する審査書案に対する科学的・技術的意見の募集について というものがでています。〆切は 2014/8/15 です。

既にstudy2007 さんによる まとめや 岩波「科学」の川内原発審査書案/原発再稼働への市民からの意見書 がありますが、一応私の送る予定の文章を以下に。

本審査書案で述べられている内容を科学的・技術的な観点から判断すると、この審査で「規定に適合している」と述べられていることが、実際に運転が再開された時に設備が規定に適合していることを意味しないものとなっており、この審査書は科学的な観点から無意味なものになっているということができます。

この問題は本審査書案のあらゆる箇所で無数に繰り返されるものですが、ここでは1例として、

351ページの

   4-4.12 発電所外への放射性物質の拡散を抑制するための設備及び
   手順等(第55条及び重大事故等防止技術的能力基準1.12関係)
   
   本節では、炉心の著しい損傷及び原子炉格納容器の破損又は貯蔵槽内燃料体
   等の著しい損傷に至った場合において発電所外への放射性物質の拡散を抑制
   するために申請者が計画する設備及び手順等について、第55条及び重大事
   故等防止技術的能力基準1.12項(以下「第55条等」という。)におけ
   る要求事項に対応し、かつ、適切に整備される方針であるか確認した。さら
   に、申請者が、自主的な対応により重大事故等対処をより確実に実施する方
   針であるかを確認した。
を取り上げます。ここでは、「適切に整備される方針であるか確認した」という表現が使われていいます。これは、「方針」が存在すればよいことになっていて、現在整備されていることも、ある期日までに整備されることも要請していません。 従って、運転再開時点でこの基準で要請されている設備及び手順が存在するかどうかは不明であり、この設備及び手順が必要な事態が生じた時に、対応できない可能性があることになります。

すなわち、本審査書案では、実際には基準に適合していない可能性があるにも関わらず、基準に適合している、という判断がされていることになります。 これは、本審査書案の「適合している」という判断が適切な根拠を欠いたものである、ということを意味しており、全ての項目についての審査のやり直しが必要です。

なお、この審査の根拠となっている規制基準自体、それを満たしている、ということが事故を防止できるということを意味するものではない、ということは科学的な観点から容易に示すことができるものであるため、審査のやり直し以前に規制基準自体に見直しが必要です。
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