講義第7回:Web とネットワークニュース

さて、今回は前半部(計算機を使ったコミュニケーション)のまとめととして、 以下の2つを簡単にまとめる。

Web に文書をのせる

Web (World Wide Web または WWW)上でいろんな情報を見るというのは、これ までやってきたわけだが、今回は、これを使って自分で人に情報を提供すると いうことをやってみよう。

Web では、複数の文書(絵が入っていることも多いが)を、「ハイパーテキスト」と 呼ばれる概念にしたがって関係付ける。

というと、偉そうだが、要するに、ある文書のなかに、「他の文書はどこにあ るか」という情報を書き込んでおいて、 Netscape や Mosaic などの Web brouser では、その情報が書いてあるところでマウスボタンを押せば、その文 書を画面に表示するというだけの話である。

こういった Web 用の文書を書くための規則が、 HTML (HyperText Markup Language) と呼ばれるものである。詳しい使い方とかは、 情報棟で 準備した資料の方を見て欲しい。その中でも、 慶応 SFC の学生が作った、 NCSA による入門書の翻訳は参考になる。また、本 屋にいけば非常にたくさんの解説書があるので、適当なものをみてみるのもい いと思う。

ここでは、以下のような簡単な文書を作ってみる。

以下の手順で作業をしていこう。

  1. 文書をつくってみる。
  2. 他の文書へのいき先指定を書く。
  3. 絵を入れてみる。

文書を作ってみる。

文書を作るのはいいが、作っただけではそれは誰も見ることができない。とい うのは、その文書のありかがどこにも書いてないからである。この情報処理棟 のシステムでは、HomePageのあ るユーザ一覧というところに、皆さんの作った文書が自動的に登録される ような仕掛けになっている。これを利用するためには、 WWW というディレクトリを作るには、シェルウインドウで以下のようにすればいい。

cd             (ホームディレクトリに戻る)
mkdir WWW
もともとホームディレクトリいるなら、最初の cd はなくてもいい。

次に、ファイルを作ることにする。これには、 mule で、まず新しいファイル を開くことにする。メニューで、 File -> Open File の順で選ぶか、 Ctrl-x Ctrl-f とキー入力すると、

Find file:~/
とか聞いてくる。(~/ の代わりに、 /home/gXXXXXX/ とか /a/fsXX/homeXX/gXXXXX/ とか出るかも知れないが、意味は同じである)ここ で、
WWW/index.html
と答えると、ディレクトリ WWW の下に index.html というファイルを作る。

例えば下のようなものをつくるとすると、


テストのページ

これは、テスト用のページです。

山口先生の ところへのリンクを書いてみた。

絵を入れてみる。


ファイルは
<HTML>
<HEAD>
<TITLE>テスト用ページ</TITLE>
</HEAD>
<BODY>

<H1>
テストのページ
</H1>

これは、テスト用のページです。<p>

<A HREF="http://www.komaba.c.u-tokyo.ac.jp/~yamaguch/">山口先生の
ところへのリンク</A>を書いてみた。

絵を入れてみる。<img src=tgifsample.gif> </BODY> </HTML>


というようなものである。これを作ったらセーブしておく。

上の文書を簡単に説明すると、

絵の作り方

絵の作り方はたくさんあるが、ここでは「画面に出ている絵を切りとってしま う」方法について説明する。Tgif とか xpaint で絵を書いて、その絵が出て いる状態で、 xv というコマンドを実行する。xv と書かれたウインドウが出 てきたところで、そこでマウスの右ボタンを押すと、 xv controls と書かれ た新しいウインドウが出てくる。

その右下の Grab というところで今度は左ボ タンを押すと、さらにもう一つウインドウがでてくる。

で、何をすればいいかは書いてあるとおり。あるウインドウ全体を切りとることと、指定した範囲を切りとることができる。「Grab」と書いてあるところをクリックしてから、

ここで、 xv controls のほうに戻って、こんどは Save を押すと、

こんなウインドウが出てくる。ここで Save file: のところに名前をいれてや り(ここでは xv_controls.gif)、 Format が GIF、 Colors が Full Color になっていることを確認して(そうでければ変更して) Ok を押せば指定した 名前のファイルができる。

自分で見る

さて、このようにして作った HTML 文書は、とりあえず自分でみることはでき る。これには
mosaic WWW/index.html
なり、
netscape  WWW/index.html
とシェルウインドウで入力するか、あるいはすでにこれらが動いているなら、 netscape なら File->Open File で選ぶ。Mosaic なら File->Open Local で ある。

具合が悪ければいろいろ手直ししてみる。また、飾りとかいろいろつけたいと いう人は、とりあえず上にも紹介した、慶応 SFC の学生が作った、 NCSA による入門書の翻訳をみていろいろやってみ ること。

人が見れるようにする。

このようにしてファイルを作っても、それだけではまだ人が見ることができな い。これは、ここの計算機システムでは、デフォルトでは(特に指定しないと) 自分が作ったファイルは人に見せないという設定になっているからである。こ れを、見えるようにするには、 chmod というコマンドを使って、ファイルを 人が見れるようにしておく。具体的には
cd WWW
chmod og+r index.html
とする。これで、明日には「ホームページ一覧」に登録されることいになる。

注意!

WWWに載せた文書は、全世界どこからでも読めるようになっている。従って、 勝手にいろんなもののコピーをとって、のせておいたりすると著作権や肖像権 の侵害になることがあるので注意すること。また、ここの計算機設備は、あく までも「教育」のためのものなので、その目的から著しく外れる内容のものは、 外からのアクセスができないようにすることもあり得る(昨年あった)。

ネットワークニュース

さて、最後に、ネットワークニュースというものについて簡単に触れておく。 これは、パソコン通信では「掲示版」とか「フォーラム」(会議室)とかいう ような、不特定多数の人が(パソコン通信の場合には原理的には不特定ではな いが)メッセージを読み書きできる仕掛けである。

まず、使ってみよう。右下のウインドウ(mule のウインドウ)で、 ESC x gnus (ret) と入力する。しばらくすると、下のようなものが出た画面になる はずである。

     17: alt.0d
     12: alt.2600.hope.tech
      5: alt.2600hz
     67: alt.3d
      1: alt.Cajun.info
      1: alt.abuse.offender.recovery
      2: alt.abuse.recovery
      3: alt.alcohol
      2: alt.aldus.freehand
      1: alt.aldus.misc
     70: alt.aldus.pagemaker
     ......................
これは、「ニュースグループ」のリスト画面である。数字の後に書いてあるの がニュースグループの名前で、数字はそのニュースグループにまだ読んでいな い記事がどれだけあるかである。

ニュースグループというのは、ようするに表題であって、その表題に関するい ろんな記事を世界中の人が書いたものがそこを選ぶと見ることができる。 さて、このネットワークニュースの一つの問題は、「余りに膨大な量のニュー スが来る」ということである。これは、世界中の人が書いたものが、ほとんど 何の査読もなしに来るからである。これを頭から順に全部読むのは無理なので、 自分が関係あるところを探す必要がある。これには、 mule の incremental search というコマンドを使うと便利である。 Ctrl-s を押すと、I-search: と聞いてくる(一番下の行で)ので、 komaba.lectures と入れてみよう(リターンキーは押さないこと)すると、 komaba.lectures.jousho.xxxというような名前のニュースグループがいっぱい 出てくるはずである。

なお、 incremental search というのは、キーを押していくとそこまでで一致 した文字の並びが出てくるところにカーソルを移動してくれる。探すのをやめ てカーソル編集できる状態に戻すには ESC を押す。 さて、 komaba.lectures.jousho96.makino-2 というニュースグループがあるは ずなので、その行にカーソルを持っていき、スペースを押す。と、

D 1:+[  7:makino@komaba] Welcome!
と出てその下になにか僕の書いた文書が出ている。このように、僕が書いた文 書がメイルで送らなくてもこの計算機システムのユーザ全員に見えるわけであ る。

さて、前にもいったように、ネットワークニュースでは世界中から送られてく る記事を読むことができる。名前が komaba で始まるのはこのセンター内だけ で読めるものであるが、例えば fj, japan で始まるもの(主に日本語のニュー スが書かれる)は全世界に送られている。その他の、 alt, comp, soc, rec といったもの(これらは普通英語)も同じである。u-tokyo で始まるものは東 大内、 teccで始まるものは教育用計算機センターの中である。

ニュースを読む

少しあちこちのなかを覗いて見よう。あるニュースグループに入るにはその行 にいってスペースを押す。すると、そのニュースグループにあるメッセージの 一覧と、先頭のメッセージが出る状態になる。メッセージの後ろのほうを読む のにはさらにスペースをおすというのは mh の時と同じである。飛ばすには、 nを押すと次のニュースに移動する。また、ニュースグループを読むのをやめ るには q を押す。

例えば、 komaba.announce を見ると、ここの計算機センターからの連絡など がでていることもある。

ニュースを書く

今読んでいるニュースグループに自分も何か書きたいことがあるであろう。こ れには2つの場合がある。一つは誰かが書いた記事に返事(フォロー)をする ことで、もう一つはなにかあたらしく書くことである。今読んでいる記事のフォ ローには、ただ F(大文字) と押し、あとは質問に答える。操作の仕方はメ イルに返事を書くのと同じようなものである。新しく書くためのコマンドは a である。



なお、ニュースはメイルとは違って、 komaba でも教養学部全体(学生、 教官両方)、tecc で東大全体、それ以外では全世界の人が読んでいる可能性 がある。非常識な振舞い、マナーに外れた行為などはしないように「補遺」や 参考書(ハッピー・ネットワーキング)のマナーに関する項を良く読み、理 解してから書くようにしよう。実際に、東大の学生のなかにも、ちょっと変わっ た振舞いをするというのでなかなか有名になってしまった人もいる。

実際に書く前に、 はいぱーワークブックのネットニュースの項も読んでおいたほうがいいであろう。



次回以降

今回までは、ここの計算機システムを使って、インターネットでの電子メイル やニュース、あるいは LATEX や tgif といった文書整形/描画ソフトといっ た、ある程度「実用的」なことを学んだ。これらの技術はこれからの学生生活 のなかで大いに活用していただきたいと思う。

また、この講義で扱えたことは、あくまでも「こういうことができますよ」と いう紹介程度のものであるので、もっといろいろなことをやってみたい人は、 適当な参考書や WWW でアクセスできる情報源で情報を集めるのがいいであろ う。

次週以降の後半の講義では、「計算機はどのようにして動くか」と いう基本的な仕掛けを、自分で実際にプログラムを動かすということを通して 学ぶことにしたい。

具体的には、C 言語による簡単なプログラミングを学ぶことになる。来週は非 常に簡単なプログラムを書いてみて、実行してその結果を画面に表示する。

課題

以下の2課題のうちから選択とする。もちろん両方やっても構わない。
  1. LATEX で文書を作る。表紙には学生証番号、科類、クラス、名前を (もちろん LATEXで)書き、2ページ目以降に文章を書く。文章の内容は特に 問わないが、何も思いつけない人は履歴書風のものをつくってみること。例え ば以下のようなものくらい。なお、 図、数式、表などが入っていればそれに応じて評価される。

    提出先は三階ロビーのレポート提出用ボックス。

    \begin{document}
    \begin{center}
    \Large 履歴書\\
    \today\\
    \end{center}
    
    氏名 牧野淳一郎
    
    生年月日 196X年X月X日(満XX歳)
    
    性別 男
    
    学歴
    
    .........
    
    ........
    
    平成X年3月 東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻博士課程修了、学術博士
    
    職歴
    
    平成X年4月 東京大学教養学部助手
    
    平成X年4月 東京大学教養学部助教授
    
  2. 自分のHomepage を作る。この場合、作っただけでは誰がどこに 作ったかわからないので(特に他クラス聴講の人)、作った後で、
    	    makino-1@chianti.c.u-tokyo.ac.jp
    	    
    宛に、 Subject を kadai-2 として、「ホームページを作りまし た」というメイルを送ること(Subject があっていれば本文はな んでも構わない)

〆切は2回後の講義の時間である。(新年最初)