講義第2回:WWW (World Wide Web) による情報収集(続き)、電子メイル

今日はWWW (World Wide Web) による情報収集(続き)ということで、もう少 しあちこちを見てみると同時に、図書館などの情報を見てみることにしよう。

その後で、さらに、「こんなことについての情報はどこにあるか」というのを 調べてみることにしよう。

WWW で東大の中を探検する

前回は、この建物(情報教育棟)がつくっているページや、ここの計算機のユー ザーが作っているページをいろいろ見てみた。まず、教養学部全体を見てみよ う。

このためには、 URL (Uniform resource locator) という、ページがどこにあ るかを実際に示している名前をキーボードから入力(打ち込む)必要がある。 Netscape であれば、上の方に Location: と書いたところがある。その横に

file://home/makino/....

と今は(どこか他のところを見にいっていなければ)でているはずである。 ここの枠の中にマウスを動かしてマウスカーソルを入れて、クリックする(左ボタ ンを押す)。すると、普通のカーソル(縦棒で出ている)が出て、点滅をはじ める。まず、右カーソルキー(右向きの矢印が書いてあるキー)を押して、カー ソルを後ろに持っていき、 backspace (delete かも) キーを押して出ている ものを消す。それから

http://www.c.u-tokyo.ac.jp

と入力し、リターンする(リターンキーを押す)。 すると、画面が切り替わって教養学部のホームページが出てくる。

ここで、さらに「駒場キャンパス内のWWWサーバ一覧」を選んでやると、駒場 にあるいろんな研究室や学科のホームページが出てくる。私の研究室のはここ には出てこないが、これは作ってないからではなくて登録をさぼっているから である。

さて、もう一度学部のホームページに戻って、今度は www.u-tokyo.ac.jp と 入れてみよう。英語が出てくるが、不得手な人は「Japanese」を選んで日本語に 切替えてみよう。ここでもいろいろ見ていって、どの先生はどんな研究をして いるかなんてことを調べることができる。 さて、いままでは、学部とか大学のホームページから、そこで指しているもの のなかで何か役に立ちそうなものとか面白そうなものをいもずる式に見ていく ということをしてきた。これは、時間潰しにはいいし、初めのうちは面白いが、 なにか特定のものについて調べたいというような時には役に立たない。

そのような、何か特定のことを調べたいという時には、いろいろな方法があり 得る。

一応両方やってみよう。 例えば Location に http://www.ibm.com と入れて リターンキイを押すと、 IBM のホームページにつながる。 ibm の代わりに asahi とすれば朝日新聞にいく。

上にも書いたが、ここで入れているのは、ホームページアドレスとか URL (Uniform Resource Locator) とかいうもので、これを指定してやるとそこに ある情報を見ることができる。前にやったような、あるページから別のページ に飛ぶのも、実はそこにこの URL が書かれているのである。

こういった方法で情報を得るためには、「何かについての情報はどこに書かれ ているか」を知っておく必要がある。最近は新聞、雑誌などでもこの URL が 書いてあっていろいろな情報が得られることも多い。しかし、特に手がかりが ないときはどうすればいいだろうか。

このような場合に役に立つ強力な道具が、サーチエンジンといわれるものであ る。これは、(やり方はいろいろだが)あらかじめ計算機が自動的に「どこの URL には何に関する情報が書いてあるか」ということを調べてデータベースを つくっておき、適当に問い合わせるとそれらしい情報がある URL を返すとい う仕掛けである。

こういったサーチエンジンは、現在のところ様々な機関(企業もあれば大学な ど研究ベースのものもある)が無料で提供している。いろいろあるがここでは 試しに比較的高速であるといわれている DEC 社の Alta Vista というものを 使ってみよう。

これは http://altavista.digital.com というところにある。

図書館の本を探す

さて、ここまでは、いわゆるWWW を通してアクセスできるような情報を見てき た。しかし、現在のところ、計算機をつかって見ることのできる情報がすべて WWW で(Mosaic や Netscape で)見られるわけではない。そういうものの一 例でもあり、また実際に使うこともあるであろうものとして、東大図書館の蔵 書目録をみてみることにしよう。

telnet opac.cc.u-tokyo.ac.jp
......
Please enter terminal identification number:
03
JET12012A ENTER USERID -
library
Type the number and press the JIKKO(or RETURN) key.  ==>3
データベースの番号を入力して送信キーを押してください==>1
あとは画面の指示に従う。ただし、キーは以下のようにいれること。
PF1---PF10 : ESC 1 -- ESC 0
PF11       : ESC -
PF12       : ESC =
PA2        : ESC .
これによって、本の題名、著者名、その組合せなど、様々な方法で検索ができ る。

ネットワークの仕組み

WWW はネットワークによって世界中の計算機に(見かけ上は)直接にアクセス できるようになってから発達してきたものである。しかし、そのようにネット ワークが発達してきたのはまだ最近のことである。

現在の Internet network では、つながっているすべての計算機に 32 bit (2進数32桁、10進数では9桁強)のIPアドレスといわれる番号と、名前を割り 振る。実際にある計算機と別の計算機が通信するには、IPアドレスを知る必要 がある。名前とIPアドレスの対応は、例えばこの南棟の中ではある1台の機械が 全部知っていて、他の機械はそこに聞きに来る。南棟以外の機械については本 郷のどこかにある機械に南棟のもとの機械が問い合わせるしかけになっている。

IPアドレスがわかると、そこにアクセスにいく。これは実際には途中に何台か の計算機があって、それらが中継しているが、ユーザ(あるいはモザイクのプ ログラム)は、中継しているということを意識しないであたかも直接相手とつ ながっているかのごとく使える。

IPによる接続が一般的になる前は、 UUCP というシステムをつかった接続が行 なわれていた。これは、たとえば子どもが親のところに1時間に1回とかの決まっ た間隔で電話をかけて、溜っていたメイルをとってきたり送りだしたりするシ ステムである。

UUCP に比べると、 IP によるシステムは、プログラムを使っている人、ある いはプログラム自体が、相手の計算機につながっている方法を意識しないでい いという意味で画期的なものといえる。例えば Web のような、テキストをク リックするだけで世界中の計算機にあるドキュメントを見にいくようなシステ ムは、 IP による接続でなければ非常に困難である。

IP アドレスを使ったシステムは、歴史的にはアメリカで (D)ARPA (Department of Defence) Advanced Research Projects Agency が様々な計算 機をお互いにつなぐための研究をはじめたのに由来する。

もともとこれは遠く はなれた場所にある計算機の間を専用回線でつなぐために考案されたものであっ たが、 UNIX ワークステーションの LAN(ローカル・エリア・ネットワーク) ではこの IP アドレスを使ったシステムを、研究所の中とか研究室単位の狭いネッ トワークでも使うようになった。

このため、逆にそういった、ローカルなネットワークをどんどんつないでいっ て全国的、全世界的なネットワークを構成することが技術的にはそれほど困難 ではなくなった。

もちろん、実際に全世界的なネットワークが実現するまでには、いろんな人の 努力がある。例えば東大のなか一つにしても、大規模なインターネット網がで きたのはほんの5年程前のことでしかない。これは、例えば吉村さん(現在は 東大から IIJに移ってしまわれたが(と思っていたら、また新しい会社を作っ たようだが))のような人の努力によってはじめて実現したものである。

まあ、歴史的なことはとにかく、現在ではインターネットネットワークは電話 や郵便なみに研究、教育に必須のものになっている。

メイルを使う

さて、インターネットを使うとはいっても、皆さんがこれからの学生生活、あ るいその後大学院にいって研究をするにしても企業、官庁(これはちょっと怪 しいが)で働くにしても、計算機ネットワークをもっとも使うのは現在のとこ ろ電子メイルであろう。 電子メイルは、要するに皆さんが計算機で作った文書を、世界中のインターネッ トでつながった計算機を使えるひとなら誰にでも送れるしかけである。(もちろ ん、皆さんがもっとも便利に使うのはクラスやサークル内の連絡だと思うが、、、) 電子メイルには、以下のような優れた特色がある。 もちろん不便な点もある。 まあ、とりあえず実際に使ってみよう。以下、簡単に手順を説明する。 情報処理ワークブック「電子メイル編」をみると、もう少し詳しく書いて あるのでこれにしたがってみるのもよい。

メイルを書く

まず、自分宛にメイルを書いてみよう。Muleのウインドウ(右側)で、
 ESC x mh-smail(ret)
と入力する。すると、

To:

と聞いてくるので、自分のユーザー ID をいれる。すると、

Cc: と聞いてくる。これは、 carbon copy の意味で、メッセージのコピーを別の 人にも送りたければ、ここで送り先の ID を入れる。なお、複数の人に送りた ければ、コンマで区切って g000001,g0000002 とか入れていけばいい。 他に送る必要がなければ、ただリターンすれば十分である。

さらに、

Subject:

と聞いてくるので、なにか表題をつける。メッセージの本文は日本語を使って も構わないが、この表題には使わないのが礼儀とされている。メイルを処理す るプログラムの中には、ここに日本語が書かれているとうまく動かないものが あるからである。

ここまで入れると、文章を入力できるようになる。通常の文書を書くのと同じ ように編集することができる。また、宛名や表題も変えてもいいが、 To: などとかいてあるところとか、ハイフンがならんでいるところは消して しまわないようにしないといけない(消してももとに戻せばいいのはもちろん である)。これは、これらの情報をみて計算機がどこに送るべきかなどを判断 するからである。計算機が必要とする情報が入っていないと、メイルがおくら れないで戻ってきてしまう。なお、送り先や表題の中身はここで変更することも できる。

なお、エディタの使い方、日本語の入力法については、来週もう少し詳しくや るが、とりあえず手っ取り早く勉強したい人は、「補遺」をみるか、あるいは ワークブックを見て勉強してみること。

メイルを読む

さて、メイルがうまく送られたら、今度は読んでみよう。 うまく送られたかどうかは、画面右上の郵便ポストみたいな絵がでているウイ ンドウの状態でわかる。これはうまくメイルがついたら、旗が立った状態にな るはずである。

さて、メイルを読むには、

ESC x mh-rmail(ret)

と入力する。(スペースは入れない)すると、例えば

  50+ 10/31 makino@komaba.c.u  test <<This is test >>
  51  10/31 makino@komaba.c.u  test <<This is test >>
というような状態になる(多分最初の番号は1だと思うが)。中身を読むには ピリオドを押すと、カーソルのある番号のメッセージが出る。カーソルは普通 に動かすことができる。

さて、1画面に収まる短いメッセージなら見ておしまいだが、長いのはどうす ればいいだろうか?これには2つの方法がある。一つは、スペースキーとデリー トキーを使う方法である。これで1画面分ずつ動かせる。もう一つは、カーソ ルをメッセージが出ているほうのサブウインドウに持っていき、そこでいろい ろな mule のコマンドを使う方法である。持っていくには、Ctrl-x o で移動 する。(もう一回で戻る)

ここで、Ctrl-x o というのは、「まずControl キーをおした状態で x を押し、 両方離してから o を押す」という意味である。

メイルを読むのをやめるには、単に q と入れればいい。

次週予告

来週は、 Mule を使ってもう少しちゃんとした文書を作る方法と、メイルに返 事を出す方法などを学ぶ。さらに、それらを通して UNIX 上の「ファイル」と いうものの概念と、そのの基本的な操作のし方について学ぶ。