講義第3回:ファイル、Mule の使い方、日本語入力

  • 計算機ネットワーク
  • ファイルとコマンド
  • エディタの操作
  • 日本語(漢字)入力

    事務連絡

    2年生の人は、今週のうちに新しいパスワードをもらうこと。詳しくは ECCの広報に書いてある。

    計算機ネットワーク

    今日は、文書の保存の方法、エディタの使い方などを簡単に説明するが、そ の前にちょっと計算機ネットワークの仕掛けについてまとめておこう。


    上に示したのが、教育用計算機ネットワークの概念図である。「端末群」と書いてあるのが、実際に皆さんの前にある機械、つまり、キーボード、 マウス、ディスプレイとその下の本体のセットである。

    この、端末というのは、「端末」という名前が示している通りそれだけではあ まりたいしたことはできない。「イーサネットスイッチネットワーク」を通して つながっている各種のサーバを使うことで初めていろいろなことができるわけ である。

    今みなさんが使っている(はずである)のはUnix CPU サーバである。 これは一応自立した計算機であって、その上でいろいろな プログラムが動作する。 Netscape や今日使う mule といったものは、この Unix CPU サーバの上で動作しているわけである。

    この講義の後半では、 Windows NT も少し使ってみようと思っている。これは Unix CPU サーバとは別の、 Windows CPU サーバで動く。Unix サーバと Windows サーバは絵では同じ計算機み たいに書いてあるが、別のメーカの別の計算機である。 なお、メイルについてはメイルサーバーとなる計算機、また WWW についても そのサーバーや、さらにその代理となる計算機がある。

    さて、今日は「ファイル」を作るという話になる。計算機を使って作った文書 や絵に名前をつけて保存したり、あとで後で変更したりするわけだが、ファイ ルというのは、そのために計算機のほうで文書や絵、あるいはプログラムといっ たものを管理するための仕掛けである。ファイルは物理的にはどこにあるかと いうと、図では「ファイルサーバ」と書かれた大きな計算機が持っているとい う形になっている。この計算機の中に大容量のハードディスクがついていて、 そこにみなさんのファイルがおかれている。

    あ、あと、「UTnet」「ATM」「スイッチ」「ルータ」 といった謎な言葉がいっぱい出てくるが、これらはちょっと面倒なので説明を 省く。

    なぜこんなややこしいことになっているんだろうと思うかもしれない。例えば、 端末自体やCPU サーバがファイルを持っていてはいけないだろうか? この場合の問題は、あるCPU サーバのファイルが別のCPU サーバからも使える ような特別な仕掛けをつけない限り、皆さんが座れる場所を固定しないといけ なくなることであろう。もちろん、そういった特別な仕掛けというのは存在す るが、それは結局CPU サーバがファイルサーバも兼ねるということと同じであ る。それならCPU サーバとファイルサーバを分けておいたほうが、性能も、ま たシステム管理や保守の上からもいいということでこうなっているわけである。

    なお、ここで理解して欲しいことはもう一つあって、ここの計算 機ネットワークを使う時は、端末は一人で独占していると思っていいが、CPU サーバは最大40人の他の人と、またファイルサーバとネットワークそのもの については教育用計算機ネットワーク(本郷、駒場の両方)を使っているすべての 人と共有しているということである。

    ネットワークに過大な負荷を掛けるような行為は、すべての人に迷惑を掛けることに なるので注意してほしい。(といっても、それがなにかかならずしもわかって いない人がそういうことをするわけだが、、、)

    まあ、道徳みたいな話もあれなので、もうちょっと役に立つ話に戻ろう。

    ファイル

    ハードディスクの中には、プログラム、データ、そのほか様々な情報がしまわ れる。これらは見出しをつけて、計算機、人間の双方に理解できるような形で 管理する必要がある。この管理システムのことをファイルシステムという。名 前がついたデータの集まりをファイルと呼ぶ。この講義で使う UNIXシステム では、ファイルの名前は例えば以下のようなものである
    /home/makino/WWW/kougi-99/note3.html
    
    このファイルの中身はこの講義資料である。で、この名前は、最初が/で 始まり、後は/で区切られたいくつかの名前(これをディレクトリ名という。 ディレクトリとは、住所録のことである)が続き、最後にまた名前が来て終る。 この最後の名前のことだけをファイル名ということもある。このように区切っ て階層的な名前を付けられるようにすることで、体系的にファイルを操作する ことができる。イメージとしては、ある名前のディレクトリを見るとその下に いろいろなディレクトリ、あるいはファイルがあり、ディレクトリの下にはま たディレクトリがありというふうになっているわけである。

    最初の /home というのは、ここのシステムに特有の名前で特に意味はない。 次の makino は、私のユーザ名である。私のものであるファイルは、ここまで は共通の名前になっている。その下の WWW というのは、私がつくったディレ クトリである。 WWW で見てもらうためのファイルを置くのにつかっている。 その下の kougi-98W というのは、さらに WWW の下に作ったディレクトリで、 この講義関係のファイルをおくようになっている。

    HWB での説明

    まあ、何だか良くわからなくなったかもしれないので、ちょっと実地にやって みよう。

    ファイル作成、印刷

    右のウインドウ(Mule)にマウスカーソルを持っていって、キーボードから何 か適当に文字をいれて見よう。入れたものがそのまま表示されるはずである。 適当に入れたところで、Ctrl-X, Ctrl-S と順に押して見よう。(Ctrl-Xは、 Ctrlキーを押したまま X を押すということである。すると、画面の一番下に
     File to save in: /home/makino/
    
    と出る。ここで何か適当な名 前、例えばsample.doc とか入れてリターンキーを押すと、この画面に出てい る内容が sample.doc という名前のファイル(ディレクトリ名はその前に出て いるもの)にしまわれる。

    なお、出方は 少し違うかも知れないが、最後が自分のユーザーネームになっていれ ば問題ない。そうでなかったら Delete キーで全部消して、 /home/gXXXXXX/ (XXXXXXは自分の番号に変えること)と自分で入れ直す。その先につけたい名 前を入れればいい。


    上のではなんだかわからないコントロールキーをつかったコマンドを入れたが、 Mule ウインドウの上のほうにあるメニューバーの Files のところでプルダウ ンメニューを出して Save Buffer を選んでも同じである。なれるまではこち らのほうがわかりやすいかもしれない。
    あるディレクトリにどんなファイルがあるかを見るには、 ls というコ マンドが使える。左のウインドウ(ターミナルウインドウ)にマウスを持っていき、 ls リターン(以下、リターンは省略することもある)と入力してみよう。 以下、良く使うコマンドをいくつか列挙しておく。(このあたりは後でまた説 明する)
    コマンド名  機能
    ls        ファイル名のリスト
    cat       ファイル内容の表示
    lpr       ファイル内容の印刷
    lpq       (重要!)プリンタの状態を見る
    cp        ファイルのコピー
    mv        ファイルの名前変更
    rm        ファイルの消去
    mkdir     ディレクトリの作成
    cd        カレントディレクトリの変更
    
    カレントディレクトリとは、ファイルの名前(完全名)は上に書いたように長 いものであってコマンドとかでいちいち入力するのは面倒なので、最初が / で始まらないファイル名に自動的に補われる名前である。例えば、 /home/makino というのが私がここの計算機を使う時のカレントディ レクトリの既定値である。ちなみに、この既定値のことをホームとかホームディ レクトリという。

    コマンドの詳しい解説は man コマンドで見てみよう。

    エディタによるファイルの編集

    前節でファイルをつくってみた。次に、中身をいろいろ書き換えて見よう。

    カーソルは矢印キーで移動できる。文字を消すには、 DEL キーまたは Ctrl-D を使う。その他たくさんの便利な編集用コマンドがある。

    ここでは、いくつか有用なコマンドを書いておく。ほとんどのものはプルダウ ンメニューにもある。

    コマンド名        機能
    Ctrl-x Ctrl-w     ファイルの格納(名前を指定して)
    Ctrl-x Ctrl-f     ファイルの読み込み
    ESC q             パラグラフの整形
    Ctrl-x 2          ウインドウ分割
    Ctrl-x o          ウインドウ移動
    Ctrl-x 1          ウインドウ分割の取消
    Ctrl-s            サーチ(文字列を探す)
    Ctrl-h            ヘルプ
    Ctrl-g            現在実行中のコマンドの中断
    Ctrl-_            前に実行したコマンドの取消
    
    なお、 Ctrl-x とか書いた時は、「コントロールキーを押したまま x を押す」 が、ESC q では ESC を押し、離してから q を押す。

    もっと詳しい使い方を勉強するには、メニューの Help のところから、 Emacs Tutrial を選んでみる。 なお、ここでの説明は大雑把なものなので、詳しくは HWBの該 当箇所 を見て自習すること。

    日本語(漢字)入力

    今日は Mule のなかで日本語を使ってみる。

    操作のしかたは HWBの該 当箇所 にまとめられている。

    基本的には、 Ctrl-\ で日本語(ローマ字から仮名への自動変換)にな るので、単語なり文節を入れたところでスペースキーを押すと漢字に変換され る。目的の漢字と違ったら繰り返しスペースを押す。目的の漢字が出たらリター ンを押すと、その字に決まる。

    候補が出たところで、 ESC s と押すと画面の一番下に候補が出てくるので、数字で選んだり、矢印キーでえらんだりできる。

    計算機が勝手に変な風に文節を切って、うまく漢字にしてくれないことがある。 この時は、 Ctrl-o と Ctrl-i で文節を伸ばしたり縮めたりできる。

    アルファベットを入力する状態に戻すには、もう一度 Ctrl-\ を押す。

    なお、結構使いづらいかもしれないが、自分用の単語を登録することでまあわ りと使えるようになる。登録の方法は HWB の方を見て欲しい。

    あ、ついでなので説明しておくと、サーチエンジンなどに日本語で入力するの は、Mule の画面で漢字を出しておいてそれを Cut&Pasteするのがとりあえず 簡単である。もっとちゃんとした方法もあるが、わりと面倒なのでここでは説 明を省く。

    Cut&Pasteするのは、単に文字を出しておいて、コピーしたい文字列の先頭にマ ウスを持っていって左ボタンを押し、そのままコピーしたい文字列の最後まで マウスを持っていってから手を離す。

    それから、漢字を入力したいところにカーソルを持っていって中央ボタンを押 す。

    この説明ではちょっとわかりにくいかもしれないが、少しやってみてなれてお くこと。この操作はキーボードから文字を入れる時に代用に使えることが多い。

    練習

    1. 上の Cut & Paste を使って、日本語でWeb検索をしてみよう。検索エ ンジンは例えば Goo を使ってみること。
    2. HWBに沿っ てファイルを作り、それをもう一度読み出して変更するという一連の操作をやっ てみること
    3. Mule の練習をやってみること

    次週予告

    次回はメールについて。