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1 前回の復習

前回は、まず、恒星系を分布関数 $f({\bf x},{\bf v})$ で表現する、というところか ら始めた。この $f$を質量分布関数だと思うと、速度空間でこれを積分すると 質量密度 $\rho $になり、重力ポテンシャル$\phi$

\begin{displaymath}
\nabla ^2 \phi = 4\pi G \rho.
\end{displaymath} (1)

で決まる。 $f$ の時間変化は無衝突ボルツマン方程式
\begin{displaymath}
{\partial f \over \partial t} + {\bf v}\cdot \nabla f - \nabla \Phi \cdot
{\partial f \over \partial {\bf v}} = 0,
\end{displaymath} (2)

で与えられる。

で、まず重要なのは、力学平衡状態、つまり $f$ が時間進化しないで、上の2 つを連立させたものの解になっているケースである。力学平衡状態については ジーンズの定理が成り立ち、 $f$ が与えられたポテンシャルの中での運動の 積分、つまり軌道のエネルギーや角運動量といった保存量で書ける。

このことから、基本的な例として球対称な恒星系を考えると、 $f$ がエネル ギーと全角運動量だけの関数になることがわかる。さらに簡単な場合として、 $f$ がエネルギーだけの関数、というものを考える。

これは速度分布が等方的、ということに対応していて、それほど変な仮定では ない。

そうすると、球対称のポアソン方程式に、密度は $f$ を速度空間で積分した もの、というのをいれて、さらに

\begin{displaymath}
\Psi = -\Phi + \Phi_0, \quad \quad \quad {\cal E} = -E + \Phi_0 = \Psi
- v^2/2
\end{displaymath} (3)

という書き換えをすると(ここで $\Phi_0$ は定数で、普通は${\cal E} > 0$$f > 0$, ${\cal E} \le
0$$f = 0$ となるようにとる。)
$\displaystyle {1 \over r^2} {d \over dr} \left(r^2{d \Psi \over dr}\right)$ $\textstyle =$ $\displaystyle -16\pi^2 G \int_0^{\sqrt{2\Psi}} f(\Psi - {1 \over 2}v^2)v^2 d{\bf v}$  
  $\textstyle =$ $\displaystyle -16\pi^2 G \int_0^\Psi f({\cal E})\sqrt{2(\Psi - {\cal E})} d\cal E.$ (4)

8cm \epsffile{phi-psi.eps}



Jun Makino 平成21年5月10日