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7.6 ニュートン補間とアダムス公式の実用的導出

さて、補間公式の構成について、まえに説明したのはラグランジュ補間の公式 をそのまま使う方法であった。これはこれで別にいけないわけではないのだが、 もう少しスマートな方法があるので、それを紹介しておく。

補間したい関数 が、標本点 で、関数値 をとるとする。これを、以下のような形の多項式

という形に書くことを考える。これを、 までをとったものは までを通る最低次補間多項式になっているように構成すること にする。で、低い次数から順に作っていく。付け加える新しい項は、それまで に使った点すべてで0になるので、新しい点で標本と一致するように の 値を決めればいい。

まず、n=0 については、 とすればいいのは明らかであろう。 次にn=1 であるが、

から

となる。同様に、 を求めると、

ただし、

である。

さて、段々式が繁雑になるが、もうちょっとの辛抱である。上の形は、

というふうにも書き直せることに注意しよう。これは、を通る補間式 の一次の係数と、 を通る補間式の係数の差みたいなものになっている。

ここで、天下りに、 k 階差商 (divided difference) というものを導入する。これは以下のように定義される。

実は、このように定義された D が、

を満たす、求める係数であることを示すことが出来る。

証明には、が、 から始まる k+1点を通る補間多項式の係数 であるということを用いる。定義により

であるの。 ここで、帰納 法を使って証明することにすると、

は、 を通る k-1次補間多項式であり、また、

は、 を通る k-1次補間多項式であるとしてよい。こ の2つの線形結合によって、 を通る補間多項式を作るに は、

とすればよい。ここで、は、それぞれ の最高次の係数であることに注意すると、 の最高次の係数(これは に等しい) は、で与えられることがわかる。

さて、

という多項式を考えると、これは と一致し、 さらに最高次の係数も一致しているので、結局 であることがわ かる。つまり、 が求める補間多項式であり、 がその最高 次の係数ということになる。



Jun Makino
Thu Aug 13 14:18:16 JST 1998