next up previous contents
Next: 13.3 非線形問題の場合 Up: 第13章 ハミルトン系用の解法の安定性と「正しさ」 Previous: 13.1 線形安定性と P-安定

13.2 線形問題の場合の数値解と真の解の関係

というわけで、線形のハミルトニアンをもつ場合、つまりは調和振動の場合に は、周期性区間とか P-安定とかいった概念が定義できる。この時、真の解と 数値解の関係はどうなっているかということを考えてみる。

どちらも調和振動になっているわけなので、厳密解と数値解で違うのは周期だ けである。詳しい説明は省くが、厳密解と数値解の角振動数に対して、

という関係があることが証明されている。つまり、周期性区間に入っている場 合、周期自体の誤差が押えられているのである。

この場合、例えば位置や速度の大域誤差というものを考えた時、ずっと前にやっ たような時刻の指数関数的に増える誤差評価ではなく、時間の 1 次式でしか 増えない精密な誤差評価が可能になる。つまり、大域誤差の意味で求まった解 がどの程度正しいかということが(丸めを別にすれば)厳密に議論できること になる。



Jun Makino
Thu Aug 13 14:18:16 JST 1998