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9 まとめ

このノートでは、重力多体系の数値計算法を概観した。ここまで読んでいただ けた方にはある程度伝わったかと思いたいが、数値計算法の開発・改良は多く の場合に重力多体系の進化を支配する物理過程についての理解とともに進んで きている。計算機科学者・数値解析の専門家の寄与よりも、天文学の研究者の 寄与のほうが圧倒的に大きいのはこのためである。

普通の考えでは「数値計算法」から外れるかもしれないが、著者が関わってき た専用計算機についてもその基本的な考えから独立時間刻みやツリー法などへ の適用まですこし詳しく議論した。著者の信じるところでは、専用計算機の開 発は数値計算法の開発と同様に、究極の目的である重力多体系の物理、あるい は天体現象の理解のための実験器具の開発である。その意味で、そのような実 験器具の開発が可能である限りにおいて、開発を怠り出来合いの実験道具を買っ てきてすましているのは研究者として「怠慢」であり、貴重な研究費をドブに 捨てているようなものではないかという気もしなくはない。

と、ちょっと極端な意見かもしれないが、このノートはこれで終りなので勝手なことを書か せていただいた。また、機会があればどこかでお目に掛かりたい。



Jun Makino
Sat Feb 24 22:13:53 JST 2001