next up previous
Next: 3 10倍はどこに消えたか Up: 世界最高速の計算機を作る 超高速科学技術計算への「手作り」アプローチ Previous: 1 はじめに

2 汎用計算機の進化

1940年代後半にプログラム可能な電子計算機が初めて実用になって以来の50年 余りのあいだの計算機の発達は、他の技術にはほとんど例のない目覚ましいも のであった。計算速度、記憶容量のどちらにお いても、ほぼ 10 年で 100 倍の指数関数的な進歩が続いてきた。この進歩は 第一にはデバイス技術の進歩、いわゆるムーアの法則に従ったデバイスの微細 化による集積度と速度の指数関数的な進歩によっている。

デバイスの進歩によって計算機の速度はどれだけ進歩できるはずかという上限 を考えてみる。ムーアの法則はトランジスタ数が 3 年で4 倍というものであ る。トランジスタの速度は同じ3年で約2倍になる。単純に考えれば、トランジ スタ数に比例して演算器の数は増え、速度はもちろんデバイス速度に比例して 上がる。従って、3年で 8 倍、すなわち 10 年で 1000 倍の速度向上が実現で きるはずである。ところが、実際に実現できているのは 10 年に 100 倍でし かない。



Jun Makino
平成14年6月13日