さて、それでは、音波に当たるような振動数が純実数のモードというものはあ
るのだろうか?これについては、 BT を含めて標準的な教科書でも若干混乱し
た記述がなされていることがある。以下、 van Kampen の論文 (1955,
Physica, 21, 949) に沿った理解を試みることにする。分散関係の一つ前の式
に戻ってみると、
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最初にもいったように、この式がよろしくないのは で積分が
特異になるからである。意味のある解を求める一つの考え方は、 を超関数
に拡張してしまうことである:
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これがいったいどういうものかを少し考えてみよう。まず、 関数の 分は、 のところにだけ値があるということを示している。 つまり、位相速度が摂動を受けていないもともとの速度と等しい、いいかえれ ば与えたものがそのままラグランジュ的に動いていくようなものである。これ は、いま重力がまったくない極限を考えれば、単に摂動がまわりと相互作用す ることなくそのまま動いていくというものであると考えられる。これにたいし て、もう一つの項は重力による応答を示していると考えていい。
このへんはちょっとお話しになって申し訳ない(詳細を知りたいひとは van Kampen の原論文に当たってほしい)が、 van Kampen モードは完備であるこ とがわかっている。つまり、任意の摂動をvan Kampen mode の組合せとして表 現できる。