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7.7 時間刻みを変える時

さて、なぜ上のような面倒な話をしたかというと、アダムス法において時間 刻みを変える方法の概念を説明するためである。

時間刻み一定であれば、すでに述べたようにあらかじめ係数を求めておいて、 前の関数値の線形結合で変化を計算できる。しかし、刻みを変えたい場合には そうはいかない。この時の、もっとも一般的で強力な方法は、上の差商を使っ て補間多項式を計算し、さらにそれを現在の時間刻みで積分した形の係数を求 める、すなわち、毎回積分公式を作り直すという方法である。差商の形でデー タをとっておくと、上の漸化式を使ってDを順番に更新することができる。 これは Krogh 型の公式と呼ばれ、かなり広い範囲の問題について、 もっ とも効率が良い公式であることがわかっている。(特別に高い精度を要求す る場合は、次回に述べる外挿法のほうがよいこともある)

上の方法で時間刻みを変えられるなら、出発公式は不必要になることに 注意しておく。つまり、最初は1次の予測子、2次の修正子から出発して、ステッ プ毎に次数をあげていけばいい。ステップサイズは次数を考慮して決めておく。



Jun Makino
Thu Aug 13 14:18:16 JST 1998