next up previous contents
Next: 10.4 陽的ルンゲ・クッタ公式の安定性 Up: 第10章 数値解の安定性 Previous: 10.2 後退オイラー法の安定性

10.3 線形多段階法の安定性に関する一般論

一般に線形多段階法についてはオイラー法と同様な扱いができる。つまり、使 う公式を決めたら、それで一変数線形の方程式を解いて見る。すると、それが 一般に の形をとる。 は、安定性多項式と呼ばれる、要 するに で置き換えてできる代数方程式の根である。このと き、絶対安定である条件は、すべての の絶対値が 1 より小さいとい うことになる。

例えば、前回の補外法のところで出てきた中点公式

を考えてみよう。安定性多項式は

となり、実解が2つある。すぐにわかるように、 ならば必 ず解の一つは絶対値が 1 より大きいので、中点公式には絶対安定領域がない、 言い替えればかならず不安定であるということがわかる。

これにたいし、アダムス法はちゃんと絶対安定領域を持つ。但し、次数が上が るにつれて小さくなるし、陽公式の安定領域は陰公式のそれよりもずっと狭い。



Jun Makino
Thu Aug 13 14:18:16 JST 1998