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5 まとめと今後の展望

本サブプロジェクトを振り返ってみると、 100Tflops クラスの専用計算機を 開発するという計画当初の主目的を達成することができており、プロジェクト としては成功であったといえるであろう。

また、本プロジェクトとほぼ同時期に始まった理研の MDM プロジェクトで も、名目ピーク性能 75 Tflops と本プロジェクトとほぼ同程度の性能をもつ 分子動力学計算専用計算機システムを完成させた。これらと現時点での汎用 並列計算機を比較すると、ピーク性能、実効性能、価格性能比のどれをとって も専用計算機の優位性は明らかであり、半導体技術の進歩に伴って専用計算機 の優位性がより大きくなることも実証されたといえる。

今後の方向としては、優位性が実証され、科学的にも大きな成果をあげてきた 重力多体問題専用機、分子動力学専用機の次世代機を開発することがまず重要 なことである。いかに専用計算機が優れているとはいえ、半導体技術の急速な 進歩が続く限り数年のうちに陳腐化することは避けられないからである。

さらに、応用領域を広げていくことも重要な課題である。これは、本プロジェク トで開発した多用途プロセッサに実際に様々なアプリケーションを実装し、有 効性を実証していくと共に、重力プロセッサ、あるいはそれから性能を犠牲に しない範囲の変更で実現できるようなマシンでできる分野にも応用にも広げて いく必要がある。これには境界要素法、プラズマシミュレーション、離散渦法 による流体シミュレーション等がある。



Jun Makino
平成15年1月31日