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9 半導体設計技術の変化と専用計算機の将来

我々は GRAPE-3 の 1ミクロンから GRAPE-6 の0.25 ミクロンまで、4世代にわ たる半導体技術の発展につきあってきたわけだが、実感としては LSI 開発は 急速に困難になってきている。設計ツールは進歩した面もある。しかしながら、 デバイス技術の進化が、設計、検証を極めて困難な作業にしつつあるのである。 つまり、ハードウェアの規模に対して比例以上にシミュレーションや設計の計 算量は増えるのに、設計に使う計算機の速度はせいぜい比例してしか上がらな い。このため、シミュレーションやレイアウトなどに非常に時間が掛かるよう になってきているのである。また、トランジスタが高速化した分、相対的に配 線の影響が大きくなり、これもレイアウトを非常に難しくしている。また、開 発コストが上昇したことも、カスタム LSI の敷居を高くしている。

これからさらに微細化がすすむと、上の問題はさらに悪化する。さらに、設計 が困難になった分、LSI の開発数が減り、そのために開発ソフトウェアの進歩 が遅滞し、一層設計が困難になるという悪循環に落ちいっているようにも思わ れる。マイクロプロセッサの世界で独占が進んだことの一つの原因はこ こにあるであろう。

これの解決というわけにはならないかもしれないが、一つの方向は大規模 FPGA による再構成可能計算機ということになるだろう。 現在の FPGA はかな りの規模の回路を集積出来るところまで大型化した。FPGA 上ではカスタム LSI 開発のコストをかけることなく、実際にハードウェアに様々なアルゴリズ ムをマップして評価したり、また実用に使ったりすることが可能になる。今後 は専用計算機でも小規模なものは FPGA で実験され、そのなかで大規模化によっ て大きな利益があるものをカスタム LSI にしていくといった住み分けが重要 になってくるものと思われる。



Jun Makino
Mon Jun 14 18:22:57 JST 1999