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4 考察

結局、 M15、G1 のどちらでも、ブラックホールがないシミュレーションモデ ルで観測結果を非常に良く説明できる。このことからブラックホールがないと 結論できるわけではもちろんないが、少なくとも現在の観測データからブラッ クホールがあると結論できないということは間違いないであろう。

M15 のほうは間違いの原因もはっきりしていて他に影響するようなものではな いので問題はないが、 G1 のほうは原因がはっきりしないだけに影響範囲がはっ きりしない。 G1 でブラックホール質量の推定に使われたのは、いわゆる Nukers3が使っ てきた彼らにとっては標準的なツールボックスである。そして、 G1 について の彼らの結果は $2\sigma$ レベルであり、多くの楕円銀河についての彼らの 結果に比べて特に悪い結果ではない。ということは、逆にいえば例えば Magorrian et al. (1998) の結果の相当数は G1 と同様なものである可能性 がある。これについては、理論、観測の両面から検証を行っていく必要がある だろう。



Jun Makino
平成15年5月13日