さて、上のように を定義すると、以下の「ジーンズの定理」がなり立つ ことがわかる。
ジーンズの定理 任意の無衝突ボルツマン方程式の定常解は、運動の積 分を通してのみ位相空間座標に依存する。逆に、任意の運動の積分の関数は定 常解を与える。
いいかえると、分布関数 が定常であるためには、運動の積分 があって の形で書けることが必 要十分ということ。
証明だが、まず「定常ならば運動の積で書ける」というほうを考えてみる。こ れは、 自体が運動の積分の定義を満たしているので、 OK。
逆のほうは、実際に の全微分をで書き下せば、それぞれが 0 にな るということからいえる。
というわけで、これはなかなか強力な定理だが、一般の場合にはそれほど役に 立つわけではない。というのは、ポテンシャルを与えた時に一般に運動の積分 というのは 5 個あるはずだが、それらをすべて知っているということはない からである。
ただし、球対称とか軸対称とか条件をつけると、いろいろちゃんと決まるよう になる。以下、まず球対称の場合を考える。