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3 臨界点

式が繁雑なので、いま、 波数ベクトルを$x$軸方向にとることにすると、分散 関係は

\begin{displaymath}
1 + {4 \pi G \over k^2}\int {k {\partial f_0 \over \partial
v_x} \over kv_x - \omega}d{\bf v}= 0
\end{displaymath} (26)

臨界安定で $\omega=0$とすれば、結局
\begin{displaymath}
k_J^2 = -4 \pi G \int { {\partial f_0 \over \partial
v_x} \over v_x }d{\bf v}
\end{displaymath} (27)

となる。 $f_0$$v_x=0$ で有限で微分可能なら積分は求まるので、これか ら $\omega=0$ となる波数 $k_J$は決まる。

流体の場合と対応をつけるために、速度分布 $f_0$をマックスウェル分布

\begin{displaymath}
f_0({\bf v}) = {\rho_0 \over (2\pi \sigma^2)^{3/2}} \exp\left({- v^2/2\over \sigma^2}\right)
\end{displaymath} (28)

にしてみる。 これは例によって
\begin{displaymath}
\int_{-\infty}^{\infty}e^{-{v^2 \over 2 \sigma^2}}dv = \sqrt{2\pi
\sigma^2}
\end{displaymath} (29)

を使って全部積分できて、
\begin{displaymath}
k_J^2 = {4 \pi G \rho_0 \over \sigma^2}
\end{displaymath} (30)

となる。これは、流体の場合と同じになっている。つまり、中立安定な波長 (ジーンズ波長)は、恒星系と流体で同じである。



Jun Makino 平成21年5月25日