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10.1 陽的オイラー法の安定性

一変数線形常微分方程式

を、前進(陽的)オイラー法

で積分する場合を考えてみる。すぐにわかるように、

から、

となる。安定であるとは と なることであるから、その条件は

 

つまり

 

ということになる。

すこし考えてみるとすぐにわかるように、 の数値解は解とし てはむちゃくちゃなものであるが、まあ、それでも安定ではある。

さて、多変数の場合はどうなるかということを考えると、結局、線形の場合は 対角化してしまえば一変数の場合と全く同じで、各変数が安定であればいい。 ただし、少し違うのは、複素数の固有値が発生するということである。このため に、安定性条件が式(10.5)から簡単にならない。そこ で、通常、 とおいてこれがどういう範囲であれば安定 かという議論をする。

一変数(実固有値)の場合には、安定であるのはが開区間 にある場合である。複素数の固有値のときは、複素平面上で考えると、が中心 、半径 1 の円の 内部で安定ということになる。なお、上のような、元の方程式に安定解がある 時に数値解がそこにいくという性質を、特に「絶対安定性」ということがあり、 の複素平面上で絶対安定である領域のことを絶対安定領域という。

前進オイラー法の絶対安定領域はあまり広くない。が、それが問題にならない ような場合も結構多いということがわかるであろう。普通は h となるようにとる。この時は、不安定になるのは固有値の虚 部が実部に比べて大きい場合に限られる。



Jun Makino
Thu Aug 13 14:18:16 JST 1998