対称型一段公式には、対称性を保ったままで時間刻みを変更できるというシン プレクティック公式では(普通の意味では)なかった良い性質がある。以下で は、どのようにしてそれが可能であるかを簡単に述べておく。
今、任意の対称型一段法があって、その時間刻みを与える関数として が与えられているとする。ここで はなんでもいいが、これも一段法 である、つまり前のステップの値とかを必要としないものであるとする。
一般に、 によって刻み幅を決めて求めていった数値解は、時間反転 に対する対称性を満たしていない。つまり、1ステップ積分してから、逆に戻 すと、タイムステップが変わってしまうためにもとのところに戻らない。この ことのために、例えば周期軌道の場合に誤差が周期的にならないということが 起こるわけである。
刻み幅を変えつつ時間反転に対する対称性を保つ一つの方法は(これ以外の方 法もあるかもしれないが、今のところ知られていない)、 自体に対 称性を持たせることである。つまり、一段法を
という形に書いた時、
がなりたつことを保証するように h を決めるのである。具体的には、上の 対称性が成り立っていないような時間刻みの式 h があった時に、
によって対称化した時間刻みを作ればいいことになる。この場合時間刻み自体 が陰的に決まることになるが、とにかく対称性という要求は満たされるのであ る。