さて、時間刻みの変更にはもう一つ全く違ったアプローチがある。 が時間刻みを与える関数であるとすると、新しい独立変数 s を
によって導入し、元の微分方程式
を s を独立変数として書き直す。 x はいまや従属変数なので、方程式
を積分して求める必要があるが、この変換された方程式はs の刻み幅一定で解け ることになる。この場合には時間刻みを陰的に決める必要はない。
が、この方法を使った場合、リープフロッグのような陽的方法は多くの場合に 使えない。これは、変換したあとの系はハミルトン系になるという保証はない し、そうなるように変換を選んだとしてもハミル トニアンがリープフロッグが使える特別な形( p と q が分離しているも の)になるとは限らないからである。
さらに、元の方程式を書き直す必要があるので、プログラムを書くのは結構大 変な作業になることが多いということも、この方法の問題点ではある。
というわけで、前の時間刻みを陰的に変える方法とどちらがいいかは時と場合 による。時間刻みの関数 が簡単なもので良ければ、方程式の書換え も単純でありこっちの方法の方が良い結果が得られる。が、 hが簡単ではな い場合(例えば、埋め込み型RK公式から誤差推定が得られ、それを一定値に保つよ うに刻みを決める)には、前節で述べた方法を使うしかない。